ATLAS

ATLAS 滑走路状態自動評価システム(24時間監視)

滑走路閉鎖なしで、GRF対応の滑走路状態評価を
24時間365日自動提供

滑走路の安全とGRF導入の背景
2005年に米国シカゴ・ミッドウェー空港で発生した滑走路逸脱後の状況
Photo:米国国家運輸安全委員会(NTSB)

滑走路の安全とGRF導入の背景

滑走路逸脱(Runway Excursion)は、航空安全における主要なリスクの一つであり、その一因として、滑走路状態に関する情報の不一致や不十分な共有が指摘されています。この課題は、2005年に米国シカゴ・ミッドウェー空港で発生した滑走路逸脱事故を契機に認識が深まりました。同事故では、降雪により制動性能が低下した滑走路上で航空機が十分に減速できず空港外へ逸脱し、滑走路状態および制動性能に関する情報の適切な評価・共有の重要性が改めて示されました。

これを受け、米国連邦航空局(FAA)は離着陸性能評価の改善を目的として、TALPA(Takeoff and Landing Performance Assessment)航空規則制定委員会(ARC)を設立しました。TALPA ARCでは、RCAM(Runway Condition Assessment Matrix:滑走路状態評価マトリクス)やRWYCC(Runway Condition Code:滑走路状態コード)といった標準的な評価・報告手法が整備されました。

その後、これらの枠組みを基に、国際民間航空機関(ICAO)は滑走路状態の評価・報告の国際標準化を進め、2021年11月4日にグローバル・レポーティング・フォーマット(GRF)を導入しました。

GRFとは
図提供: Boschung社

GRFとは

GRF(グローバル・レポーティング・フォーマット)は、滑走路表面状態を世界共通の方法で評価・共有するための仕組みです。GRFでは、各滑走路を3分割し、それぞれについて以下の情報を報告します

  • 滑走路状態コード(RWYCC)(0〜6で表される制動性能指標)
  • コンタミネーションの種類
  • コンタミネーションの深さ
  • コンタミネーションの被覆率

これらの情報は「RCR(Runway Condition Report:滑走路状態報告)」としてまとめられ、管制および情報システムを通じてパイロットへ提供されます。パイロットはこれを航空機性能データと照合し、離着陸時の性能判断に活用します。

GRF対応に伴う課題と運用の変化

GRFの導入により、滑走路状態の評価・報告は世界共通の基準に統一されました。一方で、滑走路を3分割した詳細評価やコンタミネーション(種類・深さ・被覆率)の正確な把握、さらには継続的な状態更新と一貫した報告が求められています。また、従来の摩擦測定に依存した手法は、再現性や航空機性能との相関に課題があり、GRFでは単独の評価指標とはされていません。このため、滑走路状態を複数要素から総合的に把握する新たなアプローチが必要とされています。

変化を見逃さない滑走路管理へ

GRFでは、滑走路状態に一定以上の変化が生じた場合、速やかな再評価と報告が求められます。
しかし、積雪やスラッシュは短時間で変化し、かつ場所によるばらつきも大きいため、人手で正確に把握し続けることは容易ではありません。

変化を見逃さない滑走路管理へ

GRFでは、一定以上の変化が発生した時点で新たな報告が必要となります。前回の報告で乾雪が9mmと評価されていた場合、新たに乾雪が29mm以上となった時点で新しいRCR(滑走路状態報告)の作成が必要となります。

変化を見逃さない滑走路管理へ

一方で、こうした変化を現場で継続的に正確に把握することは容易ではありません。

ATLASによるGRF対応と運用効率の向上

ボシュン社ATLAS(Automated Take-off and Landing Assessment System:滑走路状態自動評価システム(24時間監視))は、GRFで求められる各種情報(RWYCC、コンタミネーションの種類・深さ・被覆率)を24時間365日自動で取得・提供します。ATLASは、同社のIEWS(Ice Early Warning System:凍結早期警報システム)センサー技術を基盤に、舗装・雪氷・気象データを統合することで、滑走路状態を高精度に把握。既存の気象システムとも連携し、各空港の条件に応じた柔軟な導入が可能です。リアルタイムでの継続監視により、状態変化を即時に把握できるため、点検業務の効率化と滑走路閉鎖の最小化に寄与し、安全性と運用効率の両立を実現します。

GRF対応を支えるセンサー構成

ATLASは、複数のセンサーを組み合わせることで、滑走路状態を継続的かつ高精度に把握します。
各センサーのデータを統合することで、滑走路状態を連続的・面的に把握し、GRFに必要な情報を安定して提供します。

凍結早期警報システム(RCM)

凍結早期警報システム(RCM)

路面温度と状態を継続的に監視し、凍結リスクを事前に予測。凍結前にアラームを発報することで、凍結防止剤の適切な散布タイミングの判断を支援します。

気象センサー(r-weather)

気象センサー(r-weather)

気温・湿度・降水・視程・風などを一体で測定し、滑走路周辺の気象条件を総合的に把握します。

路面センサー(IT-Sens)

路面センサー(IT-Sens)

乾燥・湿潤・雪・氷といった路面状態を常時監視し、滑走路上の水膜厚や凍結防止剤の残存状況も検知します。

アクティブ舗装センサー(IT-ARCTIS)

アクティブ舗装センサー(IT-ARCTIS)

路面温度だけでなく「実際に凍結が発生する温度(凍結点)」を測定し、非塩化系の防氷・融氷剤が使用される空港環境でも正確な評価が可能です。

bVision

すべての滑走路におけるGRF情報を一目で可視化

すべての滑走路におけるGRF情報を一目で可視化

滑走路監視の結果は、Webベースのソフトウェア「bVision」により可視化されます。同一滑走路に設置されたセンサー情報を統合し、すべての滑走路状態を一覧で確認できます。

直感的な画面で滑走路状態を把握

直感的な画面で滑走路状態を把握

画面上では、各滑走路およびその3分割区間ごとに、RWYCCをはじめとしたGRF情報が表示されます。色分けされたバー表示により、滑走路の状態(制動性能)が直感的に把握できます。

  • RWYCC(滑走路状態コード)
  • コンタミネーションの種類・深さ・被覆率
  • 気温などの補助情報
滑走路運用に必要な情報を集約

滑走路運用に必要な情報を集約

同一滑走路における凍結早期警報システム(IEWS)の情報も統合表示され、運用判断に必要な情報を一つの画面で確認できます。また、SNOWTAM/RCRに必要な情報も画面上に整理され、標準フォーマットに対応した報告作成を支援します。

滑走路運用に必要な情報を集約
RCR(滑走路状態報告)の作成と共有

RCR(滑走路状態報告)の作成と共有

bVisionでは、空港のテンプレートに基づきRCR(滑走路状態報告)を自動作成することが可能です。

  • RCR(滑走路状態報告)の自動生成
  • 空港要件に応じたインターフェースへの送信
  • レポート履歴の保存・参照

例:RCR(滑走路状態報告)

導入プロセス

ATLASの導入プロセス
  1. 事前検討・プロジェクト計画 センサー配置検討、システム設計、図面作成、施工業者選定
  2. 設計(個別最適化) 空港条件(滑走路長、気象条件等)に応じた配置・構成設計
  3. 計画・施工準備 基礎工事、ダクト・マンホール設置、電源ライン敷設
  4. 設置 ※ ケーブル敷設、センサーおよび観測ステーション設置
  5. 試運転・運用開始 動作確認・データ調整後、運用開始

※ ボシュン社/パートナー技術者+空港施工業者が協働

導入実績

ボシュン社は長年にわたりIEWS(凍結早期警報システム)を世界各国の空港滑走路へ導入しており、滑走路状態監視の分野で豊富な実績を有しています。
近年では、これらの実績を基盤として、GRF対応の滑走路状態自動評価システム(24時間監視)「ATLAS」の導入が進んでいます。

IEWS (凍結早期警報システム) ATLAS (滑走路状態自動評価システム(24時間監視))
位置づけ 長年の運用実績を持つ凍結早期警報・滑走路状態監視システム GRF対応の滑走路状態自動評価システム(24時間監視)
実績の強み 30年以上の長期運用実績
欧州主要空港で多数導入
欧州ハブ空港を中心に拡大中
導入時期 1990年代~ 2022年~
特徴 凍結予測・路面状態の継続監視 GRFに対応した滑走路状態の自動評価(RWYCC等)
導入事例
(※)
代表例(主なもの)
1995年:プラハ空港(チェコ)〔3本〕
2007年:パリ・シャルル・ド・ゴール空港(フランス)〔4本〕
2008年:ヘルシンキ・ヴァンター空港(フィンランド)〔3本〕
2009年:チューリッヒ空港(スイス)〔3本〕
2013年:ミュンヘン空港(ドイツ)〔3本〕
2013年:ワルシャワ空港(ポーランド)〔2本〕
2019年:ハリファックス空港(カナダ)〔2本〕
2021年:貴州空港(中国)〔3本〕
2022年:インスブルック空港(オーストリア)〔1本〕
2023年:ミラノ・マルペンサ空港(イタリア)〔2本〕
2023年:ミラノ・リナーテ空港(イタリア)〔1本〕
2024年:パリ・オルリー空港(フランス)〔3本〕
2025年:ブリュッセル空港(ベルギー)〔1+2本〕
2025年:パリ・シャルル・ド・ゴール空港(フランス)〔1/1本〕
2025年:フランクフルト空港(ドイツ)〔4本〕
2025年:ワルシャワ空港(ポーランド)〔1本〕
2025年:ジュネーブ空港(スイス)〔1本〕
2025年:イスタンブール空港(トルコ)〔2+1本〕
2025年:ロンドン・ヒースロー空港(英国)〔1+1本〕
2026年:ヴロツワフ空港(ポーランド)〔0+1本〕

(※)[〇本]は設置された滑走路の本数