EMAS

EMAS アレスティングシステム

航空機を安全に停止し、滑走路逸脱事故の深刻化を
防ぐ受動的安全ソリューション

出典:ABC 7 Chicago(YouTube)

EMAS(Engineered Materials Arresting System)は、滑走路オーバーラン時のリスクを最小化し、空港の安全性と運用効率を向上させる受動的安全システムです。

EMASとは

EMASとは

EMAS(Engineered Materials Arresting System)は、滑走路端に設置された減速材によって、航空機がオーバーランした際に安全に減速・停止させるシステムです。滑走路延長が困難な空港や、十分な滑走路端安全区域(RESA)を確保できない場合において、有効な代替手段として世界中で導入されています。

滑走路安全の課題

世界の多くの空港インフラは、数十年前に設計されたものであり、現在の航空機性能や運用要求に対して十分な安全余裕を確保できないケースが増えています。

  • 航空機の大型化・高速化
  • 空港運用密度の増加
  • 地理的制約による拡張困難

これらの要因により、滑走路の安全確保はより重要な課題となっています。

滑走路逸脱とは
Photo: U.S. Navy (Public Domain)

滑走路逸脱とは

滑走路逸脱(Runway Excursion)とは、航空機が滑走路を越えて逸脱する事象を指します。主に以下の2種類に分類されます。

  • オーバーラン(滑走路端の越過)
  • サイド逸脱(滑走路外への逸れ)

主な原因には、人的ミス、機械的故障、気象条件などが挙げられます。

滑走路逸脱の影響

滑走路逸脱は、以下のような重大な影響を引き起こす可能性があります。

  • 乗員・乗客への重大なリスク
  • 航空機および空港設備の損傷
  • 滑走路閉鎖による運航停止
  • 経済損失および空港・航空会社の信用低下

特に、周囲に海、崖、道路、都市部が存在する空港では、被害が拡大するリスクがあります。

Runway Safe社のEMASシステムについて
Photo: Runway Safe AB

Runway Safe社の
 EMASシステムについて

空港の運用条件、地理的制約、導入目的に応じて、最適なEMASシステムは異なります。米国連邦航空局(FAA)の認証EMAS(航空機減速材システム)リストにおいても、EMASMAX®およびgreenEMAS®が掲載されており、いずれもFAA基準に適合したシステムです。

EMASシステム比較 EMASMAX® と greenEMAS®

EMASは、航空機の運動エネルギーを吸収して減速させるという目的は共通していますが、そのアプローチはシステムごとに異なります。
EMASMAX®は工場製造された減速材ブロックを用いる方式であるのに対し、greenEMAS®は現地施工により層構造を構築する方式です。
以下では、それぞれの構造、材料、および減速メカニズムの違いを整理しています。

EMASMAX® greenEMAS®
タイプ 工場製造システム(プレファブ方式) 現地施工システム
主な材料 Cellular Concrete(セルラーコンクリート) Foam Glass(フォームガラス)
減速方式 ブロックの破砕による吸収 EMASを構成する材料の破砕によるエネルギー吸収
構 成 プラスチック製トップカバー
フォームシート
つぶれるセルラーコンクリート(Crushable Cellular Concrete)
ナイロンメッシュ
フォークリフト差込口付きプラスチック製ボトムトレイ
トップコート
CLSM(低強度制御材料:Controlled Low Strength Material)
フォームガラス
舗装(Pavement)

Runway Safeのソリューション

Runway Safeのソリューション
写真:コディアク・ベニー・ベンソン・ステート空港(米国・アラスカ)に設置されたEMASMAX®
Photo: Runway Safe AB

Runway Safeは、約30年にわたりEMASの開発と実装に携わってきた実績を有しています。
各空港の条件に応じて個別最適化された設計を行い、安全性と運用効率の向上を同時に実現します。

導入メリット

  • 滑走路逸脱時の被害低減
  • ICAO基準への適合
  • 空港安全性の向上
  • 運用停止リスクの低減
  • 地理的制約への対応

導入事例

EMASは世界各国で導入されており、多様な環境条件下でその有効性が実証されています。

EMASMAX®

サンフランシスコ国際空港(SFO, 2014年)
サンフランシスコ国際空港(SFO, 2014年)

米国

  • 2005年:ボストン・ローガン空港(米国)
  • 2005年:ニューヨーク・ラガーディア空港(米国)
  • 2006年:ラレド空港(米国)
  • 2012年:ボストン・ローガン空港(米国)
  • 2014年:サンフランシスコ空港(米国)
  • 2015年:ニューヨーク・ラガーディア空港(米国)
  • 2018年:ハリウッド・バーバンク空港(米国)
  • 2019年:カンザスシティ空港(米国)

米国外 導入例

  • 2006年:中国・九寨黄龍空港
  • 2007年:マドリード空港(スペイン)
  • 2011年:台北松山空港(台湾)
  • 2012年:クリスチャンサン空港(ノルウェー)
  • 2023年:ロンドン・シティ空港(英国)
  • 2026年:ウェリントン空港(ニュージーランド)

greenEMAS®

東京国際空港(羽田空港,HND,2019年)
東京国際空港(羽田空港,HND,2019年)
  • 2014年:シカゴ・ミッドウェイ空港(米国)
  • 2016年:チューリッヒ空港(スイス)
  • 2018年:ローラン・ギャロス空港(フランス/レユニオン)
  • 2019年:ザールブリュッケン空港(ドイツ)
  • 2019年:RAFノースホルト空軍基地(英国)
  • 2019年:東京国際空港(羽田空港) (日本)
  • 2021年:サンパウロ・コンゴーニャス空港(ブラジル)

導入プロセス

東京国際空港(羽田空港, HND, 2019年)
写真:ローラン・ギャロス空港(フランス/レユニオン)での設置
Photo: Runway Safe AB
2016年チューリッヒ国際空港(スイス)でのgreenEMAS®設置の様子
出典:Runway Safe公式YouTubeチャンネル
  1. 事前調査・フィージビリティ検討
  2. 設計(個別最適化)
  3. 計画・施工準備
  4. 設置
  5. 保守・運用

EMASによる航空機拘束事例(米国)

米国連邦航空局(FAA)の発表によると、EMASは米国内においてこれまでに26件の滑走路逸脱事例で航空機を安全に停止し、計497名の乗員・乗客の安全確保に寄与しています(2026年6月現在)。

2025年9月、ボカラトン空港(フロリダ州)でのEMASによる航空機拘束事例
2025年9月、ボカラトン空港(フロリダ州)でのEMASによる航空機拘束事例
Photo: 米国連邦航空局(FAA)
2025年9月、ボカラトン空港(フロリダ州)でのEMASによる航空機拘束時のニュース
出典:ABC 7 Chicago

FAAが公表している米国内での主な航空機拘束事例

年月 乗員・乗客数 空港名(地名) 機種
1999年5月 30 ジョン・F・ケネディ空港(ニューヨーク州ニューヨーク市) Saab 340
2003年5月 3 ジョン・F・ケネディ空港(ニューヨーク州ニューヨーク市) MD-11(Gemini Cargo)
2005年1月 3 ジョン・F・ケネディ空港(ニューヨーク州ニューヨーク市) Boeing 747
2006年7月 5 グリーンビル・ダウンタウン空港(サウスカロライナ州グリーンビル) Falcon 900
2008年7月 145 シカゴ・オヘア空港(イリノイ州シカゴ) Airbus A320
2010年1月 34 イェーガー空港(ウェストバージニア州チャールストン) Bombardier CRJ-200
2010年10月 10 テターボロ空港(ニュージャージー州テターボロ) Gulfstream G-IV
2011年11月 5 キーウェスト空港(フロリダ州キーウェスト) Cessna Citation II
2013年10月 8 パームビーチ空港(フロリダ州ウェストパームビーチ) Cessna 680 Citation
2016年1月 2 シカゴ・エグゼクティブ空港(イリノイ州ウィーリング) Falcon 20
2016年10月 37 ラガーディア空港(ニューヨーク州ニューヨーク市) Boeing 737
2017年4月 2 ボブ・ホープ空港(カリフォルニア州バーバンク) Cessna 750 Citation
2018年2月 4 バーク・レイクフロント空港(オハイオ州クリーブランド) Beech Jet 400A
2018年12月 117 ボブ・ホープ空港(カリフォルニア州バーバンク) Boeing 737
2019年2月 1 カンザスシティ空港(ミズーリ州カンザスシティ) Embraer Phenom 100
2021年2月 2 シカゴ・エグゼクティブ空港(イリノイ州シカゴ) Dassault Falcon 900
2021年7月 9 レディング・リージョナル空港(ペンシルベニア州レディング) Cessna Citation Excel
2021年9月 2 ウィザム・フィールド空港 Aero Vodochody L-13
2021年3月 2 キーウェスト空港(フロリダ州キーウェスト) Cessna 650
2023年4月 7 フォートローダーデール・ハリウッド空港(フロリダ州フォートローダーデール) Cessna 402C
2023年10月 2 ディカルブ・ピーチツリー空港(ジョージア州アトランタ) Beechcraft BE30
2024年7月 2 テルライド・リージョナル空港(コロラド州テルライド) Hawker 900XP
2025年9月 2 シカゴ・エグゼクティブ空港(イリノイ州ウィーリング) Gulfstream G150
2025年9月 4 ボカラトン空港(フロリダ州ボカラトン) Bombardier Challenger 300
2025年9月 53 ロアノーク=ブラックスバーグ・リージョナル空港(バージニア州ロアノーク) Embraer ERJ-145
2026年4月 6 テターボロ空港(ニュージャージー州テターボロ) Learjet 60

出典: 米国連邦航空局(FAA)